Ⅰ 建設業許可とは
(1)【建設業許可とは】
(2)【許可の例外~一定の軽微な工事】
(3)【建設業28業種】
(4)【業種別許可の注意点~一式工事と専門工事】
(1)【建設業許可とは】
- 原則として、建設工事の完成を請負うことを業とする者(元請・下請・個人・法人を問いません)は、建設業法に規定される28の建設業の種類毎に、国土交通大臣又は都道府県知事の建設業の許可を受けなければなりません。許可の有効期間は5年間で、更新許可を受けなければ、以後、建設業を営業することは出来なくなります。
- 例外として、一定の軽微な工事のみを請負う場合には許可を受けずに営業することが出来ます。
(2)【許可の例外~一定の軽微な工事】
- 許可を受けずに営業することが出来る一定の軽微な工事とは、各建設業が行う建設工事のうち、建築一式工事か、それ以外の工事かで、以下の様に規定されています。
建築一式工事の場合 |
イ. 1件の請負代金が1500万円(消費税込み)未満の工事
ロ. 請負代金に関わらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事(主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供すもの) |
建築一式工事以外の場合 | 一件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込) |
※【建築一式工事】とは、一棟の建物の新築や建築確認を要する増改築等一式として請負うものなど、総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事を指します。なお、改修工事・補修工事などは、大規模な工事であっても該当しないこととされています。
(3)【建設業28業種】
略号 | 建設業の種類 (建設工事の種類) |
内 容 | 具体例 | |
1 | 土 | 土木工事業 (土木一式工事) |
総合的な企画、指導、調整のもとに道路、河川、水路、その他の土木工作物を建設する工事 | ダム工事、河川工事、橋梁工事等、一式として請負う工事 |
2 | 建 | 建設工事業 (建設一式工事) |
総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 | 一棟の建物の新築や建築確認を要する増改築等一式として請負う工事 |
3 | 大 | 大工工事業 | 木材の加工又は取り付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取り付ける工事 | 大工工事、型枠工事、造作工事、木工事 |
4 | 左 | 左官工事業 | 工作物に壁土、モルタル、漆喰、プラスター等をこて塗り、吹付け、又は貼り付ける工事 | 左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事 |
5 | と | とび・土工・工事業(とび・土工・コンクリート工事) | イ:足場の組立、重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て、工作物の解体等を行う工事 ロ:杭打ち、杭抜き及び場所打ち杭を行う工事 ハ:コンクリートにより工作物を築造する工事 ニ:その他基礎的ないし準備的工事 |
イ:とび工事・ひき工事・足場仮設工事・重量物の揚重運搬配置工事・鉄骨組立て工事・コンクリートブロック据付工事・工作物解体工事 ロ:杭工事、杭打ち工事、杭抜き工事・場所打ち杭工事 ハ:土工事・掘削工事・根切工事・発破工事・盛土工事 ニ:コンクリート工事・コンクリート打設工事・コンクリート圧送工事・プレストレストコンクリート工事 ホ:地すべり防止工事・地盤改良工事・ボーリンググラウト工事・土留め工事・仮締切工事・吹付け工事・道路付属物設置工事・捨石工事・外構工事・はつり工事 |
6 | 石 | 石工事業 | 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取り付ける工事 | 石積み(張り)工事・コンクリートブロック積み(張り)工事 |
7 | 屋 | 屋根工事業 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 | 屋根ふき工事 |
8 | 電 | 電気工事業 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 | 発電設備工事・送配電線工事・引込線工事・変電設備工事・構内電気設備(非常用電気設備を含む)工事・照明設備工事・電車線工事・信号設備工事・ネオン装置工事 |
9 | 管 | 管工事業 | 冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事 | 冷暖房設備工事・冷凍冷蔵設備工事・空気調和設備工事・給排水給湯設備工事・厨房設備工事・衛生設備工事・浄化槽工事・水洗便所設備工事・ガス管配管工事・ダクト工事・管内更生工事 |
10 | タ | タイル・れんが・ブロック工事業 | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事 | コンクリートブロック積み(張り)工事・レンガ積み(張り)工事・タイル張り工事・築炉工事・スレート張り工事 |
11 | 鋼 | 鋼構造物工事業 | 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事 | 鉄骨工事・橋梁工事・鉄塔工事・石油ガス等の貯蔵用タンク設置工事・屋外広告工事・閘門水門等の門扉設置工事 |
12 | 鉄 | 鉄筋工事業 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事 | 鉄筋加工組立工事・ガス圧接工事 |
13 | ほ | ほ装工事業 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等によりほ装する工事 | アスファルト舗装工事・コンクリート舗装工事・ブロック舗装工事・路盤築造工事 |
14 | しゅ | しゅんせつ工事業 | 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事 | しゅんせつ工事 |
15 | 板 | 板金工事業 | 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事 | 板金加工取付け工事・建築板金工事 |
16 | ガ | ガラス工事業 | 工作物にガラスを加工して取付ける工事 | ガラス加工取付け工事 |
17 | 塗 | 塗装工事業 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事 | 塗装工事・溶射工事・ライニング工事・布張り仕上工事・鋼構造物塗装工事・路面標示工事 |
18 | 防 | 防水工事業 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事 | アスファルト防水工事・モルタル防水工事・シ-リング工事・塗膜防水工事・シート防水工事・注入防水工事 |
19 | 内 | 内装仕上工事業 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 | インテリア工事・天井仕上工事・壁張り工事・内装間仕切り工事・床仕上工事・たたみ工事・ふすま工事・家具工事・防音工事 |
20 | 機 | 機械器具設置工事業 | 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事 | プラント設備工事・運搬機器設置工事・内燃力発電設備工事・集塵機器設置工事・給排気機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車場設備工事 |
21 | 絶 | 熱絶縁工事業 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 | 冷暖房設備・冷凍冷蔵設備・動力設備又は燃料工業・化学工業等の設備の熱絶縁工事 |
22 | 通 | 電気通信工事業 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機器設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事 | 電気通信線路設備工事・電気通信機械設置工事・放送機械設置工事・空中線設備工事・データ通信設備工事・情報制御設備工事・TV電波障害防除設備工事 |
23 | 園 | 造園工事業 | 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物」の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事 | 植栽工事・地被工事・景石工事・地ごしらえ工事・公園設備工事・広場工事・園路工事・水景工事・屋上等緑化工事 |
24 | 井 | さく井工事業 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事 | さく井工事・観測井工事・還元井工事・温泉掘削工事・井戸築造工事・さく孔工事・石油掘削工事・天然ガス掘削工事・揚水設備工事 |
25 | 具 | 建具工事業 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事 | 金属製建具取付け工事・サッシ取付け工事・金属製カーテンウォール取付け工事・シャッター取付け工事・自動ドア取付け工事・木製建具取付け工事・ふすま工事 |
26 | 水 | 水道設備工事業 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事 | 取水施設工事・浄水施設工事・配水施設工事・下水処理設備工事 |
27 | 消 | 消防施設工事業 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事 | 屋内消火栓設置工事・スプリンクラー設置工事・水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事・屋外消火栓設置工事・動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事・漏電火災警報器設置工事・非常警報設備工事・金属製避難はしご・救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事 |
28 | 清 | 清掃施設工事業 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 | ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 |
(4)業種別許可の注意点~一式工事と専門工事
- 建設業の許可は、前述の28の業種毎に申請をすることになります。
- このうち建築工事業(建築一式工事)、土木工事業(土木一式工事)の2つの一式工事は、他の26の専門工事とは異なり、大規模又は複雑な工事を、総合的な企画、指導、調整のもとに行うものを指し、複数の専門工事を組み合わせて工事を行う場合が多いのです。そのため、元請事業者が総合的な工事をする場合に向いている許可といえます。
- 但し、注意点として、一式工事の許可を持っていても、他の専門工事を単体で請負う場合には、その専門工事の許可を別途取得しなければならない、ということです。つまり、一式工事の許可業者が外壁塗装工事や冷房暖房設備工事といった工事を単体で請負うには塗装工事業の許可・管工事業の許可が別途必要ということになります。